音楽CDレビュー藍坊主

「藍坊主」待望の新譜!ミニアルバム「月の円盤」の魅力を語りたい

「プロモーション」

3人体制に変わり、変化を前進にした最新アルバム

長らく待望となっていた「藍坊主」の新譜が出た。

「藍坊主と」いえば、青春、哲学、宇宙などをテーマとしたロック、ポップ、パンクとジャンルに縛られない。
表現力豊かなバンドである。

過去、メジャーシーンではアニメの主題歌など、活躍を見せていたが、昨今では再度インディーズに戻り活動をしていた。
コロナ禍で音楽活動は少なくなったが、ライブを中心とした動きは見せていた。
そんな中、2021年に長年ドラムの叩いていた渡辺拓郎(拓郎さん)が脱退するなどもあった。

バンドとしての大きな変化はありながらも、ついに2023年5月にミニアルバム「月の円盤」をリリース!
3人体制になったことで、どんな変化を遂げたか。楽しみでもあり、少しドキドキもある久しぶりの新譜。
かれこれ10年聴いてきた「藍坊主」好きが思ったことを書いていきます!

ではレツゴー。

「プロモーション」

 

藍坊主だなと思う瞬間が詰まった冒頭2曲

今作「月の円盤」に関して、テーマはなにかを考えてみる。
過去、藍坊主の曲には”月”がキーワードになっている曲は多い、「羽化の月」「月のヒト」「低迷宮の月」などなど。

今作でも月は一つのキーワードになっている印象、それこそ藍坊主らしさの一つである哲学が入っている印象を受けた。

そして早速、1曲目から”藍坊主らしさ”が全開だ。

「卵」

日常的な食品である「卵」から広がる世界、想像力の豊かさ、芯に刺さってくるストレートな言葉。

「卵」一つとっても、人それぞれで印象が変わる。
好きな人もいれば、嫌いな人もいる、ただの食品だと思う人もいれば、母親の作る朝ごはんを想像し、愛情を感じる人もいるだろう。

それは何も卵に限ったことではなく、人も同じだろう。
しかしどう見られても自分が自分らしくあるべき、人間には感情がある、それ故に振り回されてしまうこともあるが、”卵が卵らしくあるように、君も君のままで”と伝えてくれる。

更にキレイな景色や軌跡のような出来事も、いちいち名前があるわけではなく、その人が感じたそのままで良いとこれもまた「藍坊主」らしい、優しさの哲学が表現された1曲となっている。

この曲を聴いてどう思ったかも、君のままで良いと肯定されたような、不思議な1曲だなと感じた。

その哲学が更に続くのが2曲目の「小さな哲学」
この曲も藍坊主らしさが詰まった曲である、一人称から幼い子が疑問に感じることがまさに”小さな哲学”

そして、成長することに理解するルールやセオリーに染まっていき、いつしか消えていく。
それを悲しいと捉えるか、仕方ないものと捉えるか。
聞き手によって印象の変え、アッパーチューンで一瞬の儚さを生む、これも「藍坊主」らしさの詰まったナンバーである。

「プロモーション」

変化を柔軟に受け入れた新しさを感じる変な曲

今作で注目したいのはいわゆるhozzy節全開の「シュート」

リフはこれまでの藍坊主っぽくないなー、から始まり、徐々に片鱗を見せてくる曲の姿にある意味変な安心感を与えてくれる。
アルバムの中に1曲はこういう曲を入れてくるのが期待通りで待ったました!と思ったナンバーだ。
こういう曲はライブで絶対に化けるんだよなと思い、深くは説明しないが絶対に聴いてほしい曲だ。

そしてここで一度、優しい曲「ルノの子」を挟んでくる。
作詞作曲が藤森さん、藤森さんの作る曲にはいつも不思議な安心感がある。
出てくるワードのチョイスが藤森さんのフィルターを通して見る景色であり、私はこの景色が大好きだ。

込み上げてくる感情は悲しさではなく、優しさでもない、でも目頭がグッと来る瞬間があり、これが心が震えるということなんだなと思う。

4曲目にして、すでに感情の振り幅が広すぎる。

 

5曲目は既存曲であるこちら。

「プールサイドストーリーズ」

過去にもタイアップを行った「TIGER & BUNNY」(タイバニ)による再タイアップでの曲。

この曲を聞いた上でぜひ「TIGER & BUNNY2」を観てほしい。
着想を得たということもあり、成長とともに変わっていく意識を的確に言語化している曲であることがよく分かる。

ドラムが脱退前の拓郎さんの叩いたものが収録されている、ドラムだけで「あ、拓郎さんだ」と気付けるくらい存在感の大きさを感じることができたのも良かった。

「プロモーション」

今作の集大成、これぞ「藍坊主」

6曲目「ツキノフォン」は一番聴き込んだ曲かもしれない。
というのも、言語化することが難しく、何度も繰り返し聴いては自分の感じたものを吟味していったのだが、自分の言語化能力の低さがわかったくらいである。

幻想的な曲はこれまでも何曲かあったが、スローテンポかつセッション的な要素があり、デモの時点ではもっとアップテンポだったようだが、なるべくしてなった曲のような印象がある。
いわゆる、グルーヴ感というのはこういうことなのかと肌で感じることができた曲だった。

 

そして最後の7曲目、これも過去に配信されていた曲

「夏の金網」

3人体制になり、初めて作られた曲。

夏のような一瞬の暑さと振り幅の大きい展開の数々、まっすぐに届いてくるhozzyの歌声。
新たなスタートの一歩目の力強さ、確かな足跡がグッと踏まれた曲。

これぞ藍坊主なんだけど、新しいチャレンジも感じられ、これから来る夏に聴いたら最高なナンバーである。

ぜひ藍坊主のパワーを感じてほしい、1曲だ。

「プロモーション」

 

まとめ

全7曲、聴けばあっという間に終わってしまい、期待していた通りのところもあれば、要所要所にある新しさもある。

3人体制になり、正直大きな不安はなかったが、どうなるのだろうと心配はしていた。
しかし、そんな風に考えていた事自体が杞憂であり、やっぱり「藍坊主」は「藍坊主」だった!

久しぶりに聴くぞって方もいれば、初めて聴くという人もたくさんいるようで、ぜひぜひライブにも足を運んで、藍坊主の音を全身に浴びてほしい。

ではまた~

【参考サイト】

・ナタリー 藍坊主インタビュー

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