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15年を経て、リバイバルされた完全版!
ついに発売された「サーフブンガクカマクラ完全版」
旧「サーフブンガクカマクラ」が発売されてから15年。
さらに熟成されたアジカンがこのタイミングでリリースされたことが”いちファン”としてとても嬉しい。
というの私がアジカンのアルバムで一番好きなのがこのアルバムであり、曲ももちろんだが、
このアルバムのテーマともなっている所縁の地「鎌倉」そして「江ノ電」というのが好きな理由の一つだ。
各曲には神奈川県にある江ノ島電鉄線(通称:江ノ電)の藤沢駅〜鎌倉駅が入っており、
各曲がその駅周りの雰囲気を絶妙に醸し出しているのが本作の魅力の一つである。
このアルバムを聴きながら江ノ電に乗ることで、移り変わる風景がまるで映画のようであり、
音楽が結びつくことで特別感を発揮している。
多くのアジカンファンが所謂、”聖地巡礼”をしながら聴いているであろう。
かく言う私も、その一人である。
特に大学時代は原付を飛ばして数時間、よく茅ケ崎から江の島の海岸線を走ったものだ。
青春時代には欠かせない感慨深いアルバムなわけだが、リリースされた当時はまだ”未完成”であった。
別に本人たちが”未完成”と言っていたわけではなく、本来ある15駅から当時は10駅のみ曲名に使われていたため、一部ではそのように言われることもあった。
残り5曲は作らないのか?と様々な場面で聴かれており、ついに新曲5曲を追加され、ようやく”完成版”となった。
本記事ではその”完全版”と”未完成版”の違いを感想と共に書いていく。
頭から終わりまで聴きたくなる、1枚で1曲のアルバム
まず”未完成版”に関して少し書いていく。
私はこの未完成版は”全曲を通して1曲”という印象で聴いていた。
というのも、曲の展開、それぞれの曲の特徴、間のつなぎ、絶妙な緩急。
一度アルバムを聞き始めると、まるで電車の駅を乗り継ぐように色々な景色を見せてくれた。
藤沢の都会感のある街並みから徐々に鎌倉の田舎感ある自然に移り変わっていくような音楽は1枚の作品としてとても完成度が高い。
通常アルバムにはメインとなる曲がフィーチャーされがち(タイアップ曲とか)なので、結構、1曲で勝負している感じがある。
特にアルバムだからこそチャレンジしている曲もあれば、奇抜でファンも驚く曲もあり。
たまにライブでやるとマニアックな層が喜ぶこともしばしば。
そうなると、わかりやすく言えば、”つまみ食い”をしているような聴き方になることもある意味仕方がない。
もちろん、アーティスト側はそんなつもりはないが、すべての視聴者がファンではないので、そういうこともあるくらいだ。
むしろ知ってもらうためにはそういうやり方も正攻法である。
という意味ではこのアルバムは立ち位置的にちょっと珍しく。
割とアーティスト側の都合というか、自分たちが楽しくて作ったような装いがある。
15年前のアジカンと言えば、特に勝負の年だった印象だ。
アニメのOPを担当し、一挙にブレイクしたタイミングでその1曲が先行する形となった。
いわゆる、”一発屋”で終わるか”定着するか”の瀬戸際だったと思う。
「ワールドワールドワールド」「未だ見ぬ明日」と精力的に制作しリリースを行っていた。
当時は結構異例のリリーススピードだったこともあり、インタビューでもかなり疲弊している時期だったとのこと。
そんな中、息抜き的に作られたので一発録りのセッションという形で録音された。
それが功を奏したおかげで、一連の流れがスムーズかつ、音に”楽しさ”が乗っているように思える。
彼らの音楽ルーツとしてある、weezerのパワーポップ感を持った1枚となった。
半面、多少の粗さはあるものの、それもインディーズっぽくて曲の味付けとして大きな役割を担っている。
ちなみに完全版は各パートで録ってるので、そこは旧版と大きく異なる点である。
そういう意味では違いがハッキリしているのでぜひ旧作も聴いてみてほしい。
完全版として再録された曲について
完全版として、再録された曲もそうだが、旧作を聴いていた身としては、既存曲がどのように生まれ変わったかが結構重要だったりする。
それこそ先に書いたインディーズ感や臨場感、セッション感がどの程度反映されているのか。
又は全くなく、録り直されたからこそ生まれ変わったのか。
結論から言うと、再録により音の分離感は増した。一つひとつの楽器の音が主張すべきところはしっかり主張しつつも音のバランスがとても良い。
これはいい機材で聴いてみたいなと思う、それもこの数年で自身のスタジオを持っている点や個人的には「ホームタウン」あたりから変わった”音の質”への拘りがアジカンの今の強みとして前面に出ている。
また「稲村ケ崎ジェーン」では喜多が歌うなど、最近のアジカンの取り組みなんかもしっかり反映されている。
その点では今のアジカンとしてのアップデートがされている。
これは個人的に良かったと思うが、インディーズ感は正直ない。
しっかり制作されればそりゃそうなる、もちろん好みもある。
だが、そこは旧作の良いところであり、新作はこの違いが楽しめる点が魅力になる。
個人的には、
- 藤沢ルーザー
- 江ノ島エスカー
- 長谷サンズ
- 由比ヶ浜カイト
あたりがおすすめです!(もちろん、全曲良い前提で!)
江ノ島エスカーは待望のPVも!
新曲5曲について
今回追加された曲は、
- 石上ヒルズ
- 柳小路パラレルユース
- 西方コーストストーリー
- 日坂ダウンヒル
- 和田塚ワンダーズ
の5曲になる。
これらの曲が既存曲とどう馴染むのか、とても気になったいたがそれは杞憂であった。
どの曲もアジカンらしさと各駅周辺の雰囲気を漂わせている。
冒頭、藤沢の都会感のある街並みから徐々に鎌倉の田舎感ある自然に移り変わっていくと書いたが、
それがより細かく表現されているし、パワーポップ系アルバムとしてさらにパワーアップしている。
石上ヒルズのパワーポップ全開の軽快なナンバー。
イントロのリズムとサビの哀愁が癖になる1曲。
柳小路パラレルユニバースは先に制作されていた「出町柳パラレルユニバース」と一部異なるが同じ構成となっているが、もともと後藤の構想にあった風景とマッチしていることからそのまま使われていると思われる。
石上ヒルズと同様で軽快さが気持ちよく、藤沢ルーザーが作った勢いそのままに見事にマッチしている。
西方コーストストーリーは、爽やかな雰囲気がまさに湘南の海岸線にピッタリのナンバーだ。
新曲の中で唯一PVが作られているが、曲の雰囲気にあった映像は曲をより一層魅力的にしている。
日坂ダウンヒルはこれまでよりも低音を響かせる地盤のしっかりした曲。
他曲に比べれば、ダークな雰囲気から始まるがサビへの展開を引き立てる面白さがある。
昨今、再ブレークをしている「スラムダンク」の舞台である駅(旧名)をテーマとしているので、スラムダンク好きにはおっ!と思わせる歌詞が入っているのも良い。
和田塚ワンダーズは最後の鎌倉グッドバイにつながる前の1曲。
締めくくりに向けた展開は気持ちを落ち着けさせつつ、夕暮れの寂しさのようなしっとりとした曲となっている。
とにかく切ない、この切なさか気持ちいい。
5曲それぞれが既存曲に負けず、またお互いを引き立ててアルバムの魅力を引き上げた。
この5曲は今のアジカンだからこそできた曲でもあり、完全版の魅力の一つになる。
また配信のみの「半カートン」には「湘南エレクトロ」というイントロのみの曲もあるが、こちらも良かったらぜひ!
まとめ
といった具合で、旧作だろうが完全版であろうが最高のアルバムであることは間違いなく、それぞれにいいところがある。
これぞアジカンの味!
と言わんばかりの通常路線と違った方向性ではあったものの、ファンに愛される1枚である。
これを聴きながら江ノ電に乗るもよし、江ノ島に向かうもよし。
海岸で黄昏れながら聴くのもよし!
アジカンは聞いているけど、まだ今作を聴いたことのない方はぜひ聴いてみてください!
【参考記事】




ではまた~
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