音楽back numberCDレビュー

こんな時代だからこそ生まれた「back number」約4年ぶりの最新アルバム「ユーモア」の魅力を語りたい

「プロモーション」

4年ぶりとなる新譜は「ユーモア」溢れる宝箱のようだ。

2023年1月。4年ぶりに「back number」のニューアルバムを発売された。
アルバム名である「ユーモア」。これまで発表された曲も加えて、全12曲。

一通り聴いた感想は、これまでの「back number」らしさもありながら、どこか安心感のある一枚になっている。ポップな明るさと切なさ、些細な出来事をそっと手で掬い、時には突き刺してくるような力強さがある。

またどの曲もボーカル、清水依与吏の真っ直ぐな歌声を軸にしている印象だ。

特に昨年話題になった「水平線」を曲順としては最後にしているのだが、全曲通じて最後に聴くと単体で聴くよりも良かった。音が体の隅々に水が染み込んでくるような感覚、吐き出す息と共に力が抜けていった。

少しずつ以前のように戻りつつあるが未だ終わらないコロナ禍の中で、前作から空いた4年間。
「back number」が伝えたかったこと、そして今作の魅力を語っていきます。

では、れっつごー。

「プロモーション」

4年間で生まれた、様々な表情を持つ楽曲たち♪

今回のアルバムは約4年空いたのだが、収録されている曲の中で初めに配信されたのは2020年まで遡る。
まだコロナの驚異が日本に入ってきたばかり、まさか今こんな風になるとは誰も予想できなかった頃だ。
そういう意味ではコロナ禍だからこそ生まれたアルバムである。

収録されている曲の中で一番初めに配信されたのが、この曲から始まった。

「エメラルド」

編曲に名プロデューサーとである「蔦谷好位置」が参加、官能的で色気のある歌詞と色気のある歌い方だが、下品なイヤらしさを微塵も感じらさせない、むしろかっこよさが際立っている。
ステージに立つ妖艶であり謎めいたところが魅力的な女性に恋心を寄せつつも、自分にとっては高嶺の花である、そのもどかしくも苦しむ(良い意味で)主人公の姿が想像できる。童貞っぽい感じにもなんだか可愛らしさがああり、歌詞一つで想像が膨らむ面白い一面も発見できた。

ギターリフにロック感を感じさせつつも、鳴っている楽器数が多いので壮大さもあり、一方で散らばっていないまとまりがある。
BPMも早くないが縦ノリしやすい。個人的には「back number」で上位に入るおすすめ曲です。

配信されたがの2020年、このアルバムの中では最古参になる。
ある意味、アルバムの始まりとも言える曲だ。

 

また大胆なアレンジと壮大な音の重なりで言えばこちらも負けていない。

「怪盗」

個人的にはルパン三世的な、恋泥棒みたいな印象でした。
落ち込んでいるときに息抜き的にどこか連れて行ってくれて、そのままハートも盗まれる。
ロマンチックなキラキラ感のある印象を持っており、「高嶺の花子さん」と同じタイプのように思いました。

また独特なリズムのあるラテンを取り入れているところが大胆なアレンジである。
過去にミスチルのプロデュースを行っていた「小林武史」さんも参加している楽曲でもあり、前奏の音でそのらしさも見える。
歌詞も何も決まっていない状態から、Aメロのピアノを聞いてイメージができたという話。
演奏の中に確かなメッセージ性がこもった楽曲である。

 

歌詞で苦労したという点では本アルバムで一番と言われているのがこちら。

「ベルベットの詩」

「back number」の切ない領域の魅力を全面に出したこちらの曲。

歌詞に苦労したというエピソードでは、発表された曲順的に「水平線」の後という、バンドとして影響力の高くなった曲の次になるので、どうしても重ならないように書きたくても引っ張られてしまったとのこと。
最終的には思ったままを書いたという、そのおかげもあり、真っ直ぐな歌声がピッタリとハマった。

アルバム「スーパースター」で言えば、「思い出せなくなるその日まで」とか、「blues」では「エンディング」のようなアルバムだからこそ輝く曲だと思っている。
ボーカルの清水依与吏の声がこの曲調との相性が抜群で、感情の載せ方が上手い。

また演奏面ではベースの底から響く低音の心地よさがあってこそ、ボーカルが際立つ。
ベーシストなら弾いてみたくなるくらいの主役級の活躍がある曲だ。
その背景として、アレンジャーに「亀田誠治」が参加しているのも納得。

「プロモーション」

反響のすごかった、コロナ禍で生まれた名曲と朝ドラ主題歌

そして、このアルバムで個人的にも特におすすめしたいのが2曲ある。

一つは先程も述べたように、バンドとして影響力の高い。代表するナンバーとなったこちらだ。

「水平線」

多くを語らずとも、魅力的な曲であることは一度聴けばわかる。
特にこのコロナ禍に入ってから、自由もなく、やりたいことも縛られ、何かをやろうとすれば、犠牲になる人もいる。これまで不確かでも確かに守られたバランスが一瞬で崩れ、今もなおそのバランスは完全に戻っていない。

口に出せば、ネガティブなことが多い日々の中で、そっと寄り添いながらも支えてくれる。
特に心を大切にすること、体の不調は心の不調も含まれる。自分を守るためにはまず自分が自分を大切にする当たり前なことを改めて教えてくれる。

「back number」だからこそ、届けることができる。そしてこれからも多くの人の傍に寄り添ってくれる名曲となった。

 

そして、朝ドラ「舞い上がれ!」主題歌として新しいback numberを見せてくれているのがこちら。

「アイラブユー」

朝ドラらしい、穏やかなロックナンバー。
ストレートな気持ちはまさに「アイラブユー」、どんな気持ちを君に伝えればいいか。どうやったら笑顔にできるか。迷いながらもその思いやる気持ちこそが”愛”であることが伝わってくる。

何度聴いても良い、まるで食べ慣れた料理のような安心感がある。

「back number」自身もライブで印象が変わると言っている、ぜひライブで一度聴いてみたいと思う。

「プロモーション」

まとめ

アルバム発表前から配信も含めて、先行していた曲だけでなく、それこそ「ユーモア」を感じる曲が多かった本作は、これまでアルバムとはまた違った印象を持てた。

個人的には「back number」らしさが現れた「秘密のキス」やわずか1分半だが、印象的な「添い寝チャンスは突然に」など、アルバムの中で輝いている曲が多い。

こんな時代だからこそ、辛いだけにならないように余裕を持つ「ユーモア」を大切にしたアルバム。

syun

色んなことが重くのしかかってしまう、気持ち一つで楽になれることに気付けました!

まだ聴いていない方はぜひ聴いてみてください!

■参考
音楽ナタリーでのインタビュー記事
https://natalie.mu/music/pp/backnumber13

ではまた〜

コメント

タイトルとURLをコピーしました